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| ◇ アストロロジャー・ガネッシュ・クマール・ジョシ |
彼は仕事場で、まだお客さんを鑑定していた。順番待ちをしているおばさん達がいる。やっぱり女性ばかりだ。自分の番になると,懐から“イダモ”を取り出して、今年の運勢や子供のことなどを聞いている。ガネッシュは昔ながらのやり方で、棒きれみたいな石のチョークで机上の小さい黒板に、計算したりチャートを書いたりしている。15分くらい喋ると、客はみんないくらかのお金とビニール袋に入った米を用意していて、ガネッシュはその米粒を黒板の上に落としたりしている。米粒占いをしているようだ。 一息ついて、私の番だ。両親の名を聞き、私のホロスコープを作っていく。そこからつけられるべき私の名前の頭文字を言ってくれる。ネパールではイダモを見て結婚を決めるが、私もそうしないと失敗するぞ、とまず言われ、仕事や家庭など一通りの運勢を言い、2,5カラット以上のサファイヤや3カラット以上のダイヤをつけなければならないと言っている。「そんな高価なものなどとてもじゃないが、買えません。」と言うと、そう?そんなことないだろう。と言っている。またメ日本人だからノモと思っているのかなー。3年前南インドのアガスティアのときにも、何カラットだかピンクダイヤモンドをつけるといいと言われたが、いまだに買う気すらないのに。神様関係では、アガスティアでは月曜日にシバ神に、ガネッシュには「火曜日はガネーシャ神に、土曜日にカーリー神に、そして、血液・血圧関係が弱いので日曜日にはスーリャ(サンスクリットで太陽)にお祈りをしなさい」と言われた。そこでカリカリ博士に質問したように、またもこの人に聞いてみる。“運命は変えることはできるのか”と…すると「すべて変えることはできないが、何もしないでいるより、石をつけたり、神に祈ることによって少しは良くなるのだ。」と、 こんな例え話をしてくれた。普段着の服を美しいシルクのドレスに変えることはできないが、洗濯(手入れを)しなければすぐに穴があいて使えなくなるように、手入れをしっかりすることによって永く着られるようになる。と…なるほどー。ガネッシュはたくさんの例え話をもっていて、とても納得させられる。世紀末論について訪ねれば ――A:情報誌などでは、空から何か降ってくるとかいろいろ書いてあるが、そういう場合は細かく計算しなければ何が何処に落ちるかなどということはわからないのだ。たとえば、こんな話がある。 昔、あるアストロロジャーがいた。その妻の出産の際、彼は「生まれたら鐘を鳴らしてくれるように」と頼んで、外で待っていた。ようやく鐘の音を聞 き、ホロスコープを作ったわけだが、それによるとどうもこの子供は自分の子供ではない、と思ってそのまま家を出てしまった。そして、妻子の知らぬところで有名なアストロロジャーとなっていったが、その子供もまた、成長してアストロロジャーとなった。
その時、その国では世紀末説が流れており、国王もそれを恐れて、全国のアストロロジャーを集めた。その世紀末説とは・・・・空から魚が降ってくる。もし、その魚が地上に落ちて死んでしまうと、世界は大変なことになる・・・というものだった。集められた預言者の中には、そうと知らぬ父と息子もいたわけだが、有名な父アストロロジャーの答えに従って、国王はその答えの場所に大きな池を造った。こうしておけば、もし魚が落ちてきても大丈夫、と言って。まだ名前のとおっていない若い息子の予言では、アサン(カトマンズの旧王宮のある場所)と出たので、とりあえず小さな池を造っておいた。かくして、魚は降ってきた。それは、息子の予言した小さい池の中に落ちてきたのだ。父は、「私の方が有名で、計算も良く出来るはずなのに」と、その若いアストロロジャーに尋ねた。すると、「あなたの計算は間違ってはいないみたいだが、空気(風)の計算を入れるのを忘れています。」と言われた。その瞬間、「あー!」と、子供の生まれた時のことを思い出した。あの時、生まれてから鐘の音が自分の耳に届くまでの間の、細かい計算をとばしていたのだ。正しくホロスコープをつくり直すと、自分の息子は偉いアストロロジャーになるとわかり、今、目の前のこの若いアストロロジャーが、自分の息子だとわかったのである。 という話のように、それくらい細かく計算しないと、何が何処に落ちるかわからないのであるが、自分はその世紀末論についてあまり興味が持てないので、計算をしたことが無いのだ。 |
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| 次に、西洋占星術の方では今ひとつはっきりしない、ドラゴン・ヘッド、テールについて聞いてみた。 ――A:ラーフ(ヘッド)とは“日陰”みたいなものである。何か物がないと影ができないというのと同じで、ラーフはいつも何かにくっついているのだ。運勢のよいときにラーフも来ると、もっともっと運勢がよくなるが、逆に悪い時に来ると、全くもってついていないという運勢になってしまう。ケートゥは、“しっぽ”であるから、ラーフよりも影響が少ないだけである。 ――Q:ヒンドゥー占星術では天・海・冥王星は使わないが、使ってみようと思ったことはないのですか? ――A:モダンなサイエンティスト達は使っているようだが、しかし、それも昔ながらのヒンドゥー占星術の9つの星の中に、すでに含まれているので使わなくてもいいのである。 ――Q:私には娘がいますが、出産の際、計画的に予定日の近辺でこの日、この時間というように出産できる病院を選んでいたにもかかわらず、はからずも予定日より大幅に早く生まれ出てきて、このようなホロスコープになったのですが・・・。 ――A:受胎した時に既に生まれ出る時は決まっているので、後から生まれ日を変更することは難しいのである。 この辺から今回の旅のテーマというように、地球・魂の話に移っていってしまうが、まず驚いたのが地球の年齢である。地球の誕生日がわかればなー、と思ったのが事の始まりであるが、彼の持っている暦には年齢が載っているのであった。1,955,885,099歳。なんと、19億5588万5099歳だそうだ。百科事典で調べると、天文学的には約46億年前に地球誕生ということになっているが、19億というのは、どういう計算によるのだろうか?しかし、天文暦に毎年載せているということは、きっと何か根拠があるのだろう。 ガネッシュはネワール民族だが、ネパール語というのがありながらその公用語を普段から話す人は少ない。方便のように、日常では標準語を使わないのだから、高年齢の人たちは特に、ネパール語を話せない人がほとんどである。カトマンズのネワール族と、ポカラのグルン族では、全く話が通じないのである。そして、ネパールの識字率は、NGOの人たちに聞いたところによると、5分の1に満たないらしい。占星術を知らない通訳の人を介して、太陽系や銀河、ホロスコープ等の専門用語を使ってのインタビューは大変で、ここ半年、私の一番の興味をさらっている“天の川”については、今回は聞くことが出来なかった。―――残念ではあるがしかし、こんな発見もした――― 天の川―――英語だとミルキー・ウェイと呼ばれる“道”であるが、サンスクリット語では“アーカーシャー・ガンガー”と言って、日本語と同じ“川”という単語のガンガーがついている。アーカーシャーとは、虚空ともいうが、地・水・火・風の4エレメントのまとめ役、空のことをいう。五重塔や灯篭なども下から順に、地・水・火・風・空、とならび、一番上の空は、現在・過去・未来すべて記憶されているエーテルのことをさす。空とは、やはり天の川(三途の川)のことだったのである。 次に、笛やのラビ君も悩んでいた魂について聞いてみる。 ――Q:前世の魂によって今の人生が決まるというのであれば、ホロスコープどおりの人生を“悪くても”生きると、その魂は喜ぶのでしょうか? ――A:前世に良いことをしたら今生もいい人生になるが、魂が決めるわけでなく、自然界のルールにより自然にそうなるのだ。例えば4つのタイプの人間がいたとしよう。 1、酔っ払いの人生・・・この人生は、現在も未来も、そして過去も無い 2、王様の人生・・・・・良い前世により現在があって、未来もある 3、成金の人生・・・・・よい前世によって現在があって楽しいが、未来は無い 4、お坊さんの人生・・・過去・現在はないが、未来はある というふうに、今自分がやったことで未来もそうなるのである。 ――Q:では、身体が死に、来世、その魂が次の身体に入るなら、人口が爆発的に増えているのに、どこからあとの魂は来るのでしょうか? ――A:魂は、実は宇宙に1つだけあるのである。 例えば太陽が1つだけしかないのに、10個のバケツに水を入れると、それが映って太陽が10個あるように見える。それと同じで、魂は宇宙にただ1つだけあるが、人間や動物の中にそれを映し出すところがあるから、人口がいくら増えてもそれとは関係ないのである。 ――Q:では、バケツの太陽は皆同じに見えるが、人間には違いがあるのでは? そこで先程から静かに話を聞いていた息子さんが、おもむろに話し始めた。――息子さんは仏画師(タンカ・曼荼羅を描く)である。魂の話になるとがぜん熱が入り、父上ともよくその話をするらしい―― 息子――A:違いがあるのはやはりカルマによる。しかし、カルマと魂というのは一緒ではなく、カルマの違いにより運命が違うのである。魂はみんなの中にあるが、見えないので同じというのがわからないだけである。一方、カルマは自分の頭から思考によって創りだされるので、性格や運命などに相違があるのである。神といわれるクリシュナや釈迦も、もとは人間であるが、よい行いのカルマにより神様になったのである。 ――Q:ははー、なるほどー。すーっとした。では、今後の人類の行方は? 父に戻る――A:未来、人間はこれくらい小さくなり(と言って親指と人差し指で5センチくらいとる)!!生まれる数もどんどん減ってくる。昔はもっともっとずーっと大きかったのに・・。 ――A:(そーいえば神話などでは巨人族というのがいたなー)どうして小さくなるのですか? ――Q:地球の環境が悪くなっているからである。 と、突然現実に引き戻され、もう夜も更けてきたので、とお開きに。後日、出来上がりのイダモを取りに来る約束をして、ふらふらした頭で外へ出た。太鼓や踊り、歌などを歌って盛り上がっている中を歩きながら、ガネッシュの笑顔を思い出した。さすが自分から興味をもってグルに弟子入りし、35年以上研究しているだけあって、“占星学”という公式の受け売りではなく、素人にも納得感を与えられるそのお話の技量とたとえ話、ジェスチャー、人間の奥の深さ、温かみを感じさせられた。ガネッシュの、そのはにかんで笑うその笑顔は、とてもかわいいのであった。 |
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